ディープラーニングとは?機械学習との違いは?初心者向けに簡単に解説
2023.11.21

ディープラーニングは、機械学習の手法のひとつであり、人間の脳のように自己学習できるのが特徴です。

高度な推論や分類を行えるため、近年特に注目されている分野といえます。


本記事では、


「ディープラーニングとはなにか?」

「ディープラーニング、人工知能、機械学習の違いは?」


といったことから、


「ディープラーニングはビジネスで使われているの?」

「ディープラーニングを学ぶ方法は?」


といった内容まで、初級者エンジニア向けに詳しく解説していきます。



1.      ディープラーニングとは?

ディープラーニング(深層学習)とは、人が普段行う分類や予測などの判断を伴う行動をコンピュータで行えるようにする、機械学習の手法のひとつです。


ディープラーニングのアルゴリズムは、人間の脳を模したニューラルネットワークというパターン認識をするように設計されており、十分なデータ量があれば、自動的にデータから特徴を抽出できます。

ディープラーニングを用いた人工知能プログラムが、囲碁の世界トッププレイヤーを破ったことから注目されるようになりました。


ディープラーニングは、画像認識・自動運転・自動翻訳・医療・自然言語処理など、多岐にわたる分野で活用されており、近年の人工知能の発展に大きく寄与している技術です。



2.ディープラーニングと人工知能、機械学習の違い


ここで、ディープラーニングと人工知能、機械学習の違いについて整理しましょう。


この3つの関係を図解すると以下のようになります。

ディープラーニングと人工知能と機械学習の関係性

人工知能は、人間のように思考や学習する能力を持つコンピュータを作る技術のこと。


機械学習は、膨大なデータからパターンを学習し特定のタスクを実行する技術です。


人工知能を実現するための技術領域のひとつとして機械学習があり、機械学習の代表的なアルゴリズムのひとつとしてディープラーニングがある、という関係になっています。




3.ディープラーニングの仕組み


ディープラーニングは、多層のニューラルネットワークを使用して複雑なデータを処理する手法です。

ニューラルネットワークは、人間の脳を模したコンピュータシステムで、複数の層からなる構造を持ちます。

各層は多数のノードから入力データを受け取り、それらを処理して出力データを生成します。


次の図は、ニューラルネットワークの一般的な構造です。

ニューラルネットワークの構造

上図のように、猫の画像を入力すると、学習データをもとに何の写真かを判別します。

ニューラルネットワーク自身が猫の特徴を捉えるため、人間が正解データを与える必要はありません。


ディープラーニングは隠れ層を多層にすることで情報伝達と処理を増やし、特徴量の精度を上げ、その結果、予測精度を向上することができます。



4.ディープラーニングでできること


ディープラーニングは複雑なデータを処理できるので、様々な分野で使われています。

入力するデータの種類によって、次のように分類されます。

  
  ・画像認識

  ・音声認識

  ・自然言語認識

  ・異常検知


実際の業務において、ディープラーニングはどのようなことができるのか見ていきましょう。

①画像認識

画像認識は、画像や動画から物体の特徴を認識・検出する技術です。

例えば写真に写っている人物の顔を瞬時に識別し、その人物の名前を表示したり分類したりするアプリケーションが作成できます。


また、静止画像だけでなく動画も画像認識が可能です。

ディープラーニングにより画像認識の精度が大幅に向上し、物体検知や動体検知も可能になりました。

これにより前方に障害物はないか、通行人はいないか、信号の色はどうかなどを認識できるようになり、車の自動運転が試験的に運用できるレベルまで発展しています。

②音声認識

音声認識は、人間の声を認識し文字や文章に変換したり、声の特徴をとらえて人を識別したりする技術です。

AmazonのAlexaやiPhoneのSiriなどのスマートスピーカーは、音声認識技術が使われています。


ディープラーニングを活用することで、膨大なデータを認識する精度が向上しました。

そのため、会議内での音声を解析して自動で文字起こしする機能が進化しています。

さらに複数人が同時に話している場面でも、それぞれの人が話している内容を理解できるので、議事録作成ができるようになっています。

③自然言語処理

自然言語処理は、人間が日常的に使う日本語や英語をコンピュータが認識・処理する技術のこと。

電話応対システムや機械翻訳システム、感情分析などで使われています。

ディープラーニングを用いることで、自然言語処理を非常に高い精度で行えるようになりました。


ディープラーニングで進歩した機械翻訳の代表的なサービスのひとつに、DeepL翻訳があります。

DeepLは高度なニューラルネットワークを使用して自然言語を処理するため、業界で最も精度の高い翻訳を提供することで知られています。

④異常検知

異常検知は、産業用機器や自動車などのセンサーのデータを分析して異常を検出し、警告を出す技術です。

例えば自動車のエンジン不具合を早期に発見するシステムや、工場の生産ラインでの異常を検知してライン停止するシステムなどがあります。


その他にもクレジットカードの不正利用を検知するシステムや、道路橋・トンネル・河川・下水道などのインフラの老朽化を検知するシステムにおいても、ディープラーニングが採用されています。



5.ディープラーニングが使われているところ

ここでは、ディープラーニングが活用されているところを紹介していきます。


ディープラーニングが使われている場面は多岐に渡りますが、代表的な場面は次の通りです。

  
  ・生産技術

  ・ECサイト

  ・医療

  ・自動音声翻訳


ひとつずつ解説していきます。

①生産技術

多くの製造現場において、ディープラーニングを使った画像検査システムが導入され、生産ライン作業の自動化を実現しています。

画像検査システムでは、画像から特定のパターンに一致するものを認識し、基準外の製品を取り除くことで、品質の管理が可能です。


また、異常検知システムを導入することで、生産ラインで起きるトラブルを早期に検知できます。

これにより生産ラインの停止時間を短縮でき、生産性や稼働率が向上します。

②ECサイト

ECサイトにおいてディープラーニングを使用すると、個人ごとにカスタマイズされた推薦商品や広告を表示できます。

例えば自然言語処理を使用して顧客が入力した検索ワードや購入履歴を元に、顧客にマッチする商品や広告の表示ができるようになります。


さらに、ディープラーニングはカスタマーサービスの改善も可能です。

自然言語処理を使用することで、カスタマーサポートのチャットでのやり取りを自動化できるので、カスタマーサポートをより迅速に行えます。

③医療

医療現場においては、医療診断や治療において有用な情報を提供できます。

例えば画像認識による診断ではCTスキャンやMRI画像から疾患を早期発見できるため、診断の速度や精度の向上が実現可能です。


さらに、自然言語処理を使用することで、医療文書や診療記録を自動的に整理できるので、情報収集やデータ分析をスムーズに行えるでしょう。


また、医薬品の開発にもディープラーニングが取り入れられています。


通常、治療薬を作る創薬プロセスには数年かかることが多いですが、ディープラーニングを使用することで長期間にわたる創薬プロセスを短縮が可能です。

コストや時間が削減されるため、新薬研究の生産性向上が見込まれます。

④自動音声翻訳

自動音声翻訳においてもディープラーニングが活用されており、リアルタイムでの音声翻訳ができるようになっています。


例えば、スマートフォンの翻訳アプリは、自然言語をリアルタイムで翻訳することが可能です。

以前は不自然な文章になることもありましたが、近年は違和感のない形で翻訳されるようになってきました。


AIが自然言語を認識する手法も進化しているので、世界中の人と通訳なしで会話できる日がくるかもしれませんね。



6.ディープラーニングを学ぶ方法


ディープラーニングを習得する方法はいくつかあり、短期間で集中してスキルを習得する方法もあれば、マイペースにじっくり学ぶ方法もあります。


ここでは、3つの代表的な方法について紹介していきます。

①本で学ぶ

本で学ぶメリットには、情報の信頼性が高い・体系的な知識を得られる・コストパフォーマンスが良い、といったことがあります。

ただわからないことがあっても質問できないので、他の方法と併用して理解する必要がある・出版時点での情報のため、最新情報を知ることができない、といったデメリットも。マイペースに学びたい方にはおすすめの学習方法です。


ここで、おすすめの書籍を2冊紹介します。


ディープラーニングがわかる数学入門

ディープラーニングがわかる数学入門

ディープラーニングの学習には数学の知識が必要不可欠といえます。

本書はディープラーニングに必要な数学の知識をわかりやすく解説した入門書です。

具体例を重視した内容なので、ディープラーニングに関わる数学の知識を基本からしっかり学びたい人におすすめです。


ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装

ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装

ディープラーニングの本格的な入門書です。ディープラーニングを理解するために必要な知識を、初歩的なことから一つひとつ積み重ねながら説明しています。

ディープラーニングとは何なのか、どういう特徴があるのか、どういう原理で動作しているのか、といったことをわかりやすい言葉で解説しています。


フレームワークやライブラリを使用せずに、Pythonを使ってゼロからディープラーニングを作っていくので、ディープラーニングの基礎を正しく身につけたい方におすすめの一冊です。

②プログラミングスクールに通う

プログラミングスクールは、目的に合わせて効率よく学べる・講師に質問がしやすいため挫折しにくい、といったメリットがあります。また、スクールによっては就職サポートを受けられることも。


ただし、受講費用が高額かつ教室へ通学するので時間と交通費がかかるのがデメリットです。

独学より短期間で学べますが通学する必要があるので、ご自身の生活スタイルや学習期間を考慮してスクールを選ぶようにしましょう。

③e-Learningを活用する

e-Learningは、パソコンやタブレットなどの電子デバイスとインターネットを活用した学習サービスです。

動画講義を視聴する形態なので、インターネット環境があればどこでも学習できます。

また何度でも繰り返し受講できるので、理解度の定着が見込まれます。


e-Learningは時間や場所を選ばず自分のペースで学習できるので、忙しい社会人におすすめの学習方法です。




※掲載された社名、製品名は、各社の商標及び登録商標です。

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