機械学習とは?できることは?アルゴリズムの種類や学習方法まとめ
2023.11.18


現在第3次AIブームと呼ばれており、AIが大きな注目を集めています。

その中でもAIの普及を促進しているものが機械学習で、日常生活やビジネスで利用しているサービスに取り入れられており、画像認識や自動車の自動運転などにも活用されています。

「機械学習ってなに?」

「機械学習でできることは?」


といったことから、


「機械学習とAI、ディープラーニングの違いは?」

「機械学習はどうやって学ぶ?」


といった内容まで、初級者エンジニア向けに詳しく解説していきます。



1.     機械学習とは?

機械学習とは、AIを実現するための技術領域の1つであり、大量データからコンピューター自身が学習しデータのルールやパターンを発見する方法です。

学習した成果に新しいデータをあてはめることで、ルールに基づいて予測や判断ができるようになります。


機械学習の大きなメリットは、人間よりも早く正確に処理や識別ができるようになることです。

近年では、マーケティングや医療現場、画像識別などさまざまな分野で機械学習が用いられています。



2.機械学習が重要な理由


機械学習が重要視される理由に、労働力不足の解消が挙げられます。

日本は少子高齢化が進んでいるため、若年層の労働人口が年々減少しており、機械学習を用いることで労働力不足が解消することを期待されています。


また大量の複雑なデータを扱うコンピュータの処理能力が向上し、データストレージも低コスト化が進んでいることも機械学習が注目されるようになった理由の1つです。



3.機械学習とAI、ディープラーニングの違い


機械学習を学んでいると、AIやディープラーニングという用語を耳にする方も多いのではないでしょうか。

ここでは機械学習とAI、ディープラーニングの違いについて確認しておきましょう。


AI(人工知能)とは、人間と同様に思考や学習する能力を持つコンピュータを作る技術のことです。


AIを実現するための技術領域の1つとして機械学習があり、機械学習の代表的なアルゴリズムの1つとしてディープラーニングがある、という関係になっています。



4.機械学習のアルゴリズムの種類


機械学習プロジェクトで広く採用されているアルゴリズムは、教師あり学習と教師なし学習です。

その中でも約70%で採用されているのが教師あり学習で、教師なし学習は10〜20%程度となっています。

ほかにも半教師あり学習、強化学習といったアルゴリズムも採用されています。


ここでは、それぞれのアルゴリズムについて詳しく見ていきましょう。

①教師あり学習

教師あり学習とは、学習データに正解を与えて学習させる手法です。

正しい結果を学習させることで、入力データに正解、不正解の出力が行えるようになります。


教師あり学習は正解データを人間が与えるため、学習精度が高くなることがメリットとなりますが、準備に手間がかかるほか、正解が存在しない分野では使用できないことなどがデメリットです。


教師あり学習は一般的に、過去のデータから将来を予測する用途に使用されており、具体的には需要予測や画像分類などで使用されています。

②教師なし学習

教師なし学習は、学習データに正解を与えずに学習させる手法です。

大量のデータからコンピュータ自身が特徴やパターンを見つけ出します。


この手法は学習データに正解を与える必要がないため、教師あり学習に比べてデータを準備しやすい点がメリットです。

反対に、与えるデータの質やアルゴリズムによって分析精度が落ちやすいのがデメリットといえます。


教師なし学習は正解となるデータがないため、データ間の類似度などをコンピュータが計算し、データのグループ分けやデータ間のつながりを推測します。

具体的にはネットショッピングのレコメンデーションや異常検出などで使用されることが多いです。

③半教師あり学習

半教師あり学習は、教師あり学習と教師なし学習を組み合わせたアルゴリズムです。

この手法は少量のラベル付きデータと大量のラベルなしデータを使用し学習します。

まず少量のラベル付けしたデータを使って部分的に学習したあと、そのアルゴリズムで大量のラベルなしデータにラベルを付けます。


この学習方法は、ラベル付きデータを大量に必要としないので、コストを低くできるのがメリットです。

一方で、ラベル付きデータに偏りがあると、モデルが正しく作成されないのがデメリット。

半教師あり学習は、主にカメラの顔認識などで使用されています。

④強化学習

強化学習は、コンピュータが試行錯誤を重ねて適切な制御方法を学習するアルゴリズムです。


このアルゴリズムは教師あり学習や教師なし学習とは異なり、大量データを必要とせずに自分自身で収集した経験から学習するので、未知の環境に適応できるのがメリットとなります。

一方コンピュータが自分で学習を進めるため、想定外の答えがでたり、理解できない結果になったりするのがデメリットです。


具体的な使用例としては、囲碁や将棋などのゲームのほかに掃除ロボットなどがあげられます。



5.機械学習でできること


機械学習は、普段利用するネットショップやデバイスなどでも利用されています。


日常的なことから先進的な技術まで幅広いところで活用されており、具体的には以下のことができます。

 ・顔認識

 ・レコメンド

 ・自動車の自動運転

 ・株価・仮想通貨の値動き予想


この章では、機械学習でできる身近な事例を紹介していきます。

①顔認識

顔認識とは、コンピュータに”人の顔”を認識させる機能です。

身近な例としてはスマートフォンのロック解除機能などがあります。

顔認識技術は、大量の人の顔データを教師あり学習で行い、目や鼻、口などの位置や特徴を学習することで人の顔として認識する技術です。


近年では、医療施設やオフィスの入館時におけるセキュリティチェックにも顔認識技術が導入されており、セキュリティレベルの向上に一役買っています。

非接触で衛生的に認証できるため、感染症対策としても優れていると言えるでしょう。

②レコメンド

レコメンドは「推薦」という意味で、ネットショッピングやニュースサイトなどでユーザーの購入履歴や検索した商品を学習し、興味・関心がありそうな情報をおすすめとして表示する機能を指します。

ユーザーにとっては自分が求める情報に効率よくアクセスでき、提供者にとっては購買率が高まることがメリットとして期待できるでしょう。


レコメンド機能は、教師なし学習でデータのグループ分け(クラスタリング)を行い、分析した結果をおすすめ情報として表示します。

③自動車の自動運転

近年大幅な進化を遂げ、実用化に向けて開発が進められている自動車の自動運転も、機械学習が活用されている分野です。

自動運転では、カメラで映し出された物体が何かを瞬時に、かつ正確に判別する必要がありますが、ここで機械学習が活用されています。


例えば車を判別する場合、さまざまな形状・サイズ・色の車両画像を、異なる時間帯や異なる天候で大量に用意します。

それらの画像から特徴を学習し、車両判別の精度を向上させているのです。

④株価・仮想通貨の値動き予想

株価・仮想通貨の値動き予想にも機械学習が利用されています。

過去の株価・仮想通貨の値動きデータを機械学習で分析し株価の変動や推移を予測することで、安い価格で株式を購入したり、高い価格で株式を売却したりできます。


具体的には、Webサイト上に公開されている過去の株価情報を入手したあと、教師あり学習で予測モデルを作成し、そのモデルで未来の株価を予測する手法が一般的です。


ただし実際には未来の株価を正確に予測することは難しいので、特定期間で株価が上がるのか下がるのかの2値を予測する方法として利用されています。



6.機械学習にPythonが用いられる理由

機械学習プロジェクトで使用されるプログラミング言語には、JavaやC言語、JavaScript、R言語、Python、Scalaなどがあります。

なかでも多くのエンジニアに人気があるのは、Pythonです。


ここで、Pythonが用いられる理由を3つ紹介していきます。

①フレームワークやライブラリが豊富

機械学習向けのフレームワークやライブラリが豊富に存在しているのが、Pythonが用いられている理由のひとつです。

フレームワークやライブラリが充実しているので、開発効率や品質向上につながっています。

機械学習でよく利用されているライブラリには、Numpyやpandas、scikit-learnなどがあります。

②文法がシンプル

Pythonのコードは他言語と比較してシンプルで読みやすいことが、機械学習に用いられる理由です。

シンプルなコードのため、初学者でも学びやすい言語となっています。


また他のプログラミング言語と比較しても、豊富なフレームワークやライブラリが用意されており、シンプルな文法という特徴から、データ処理や機械学習のタスクを簡単に実装できます。

③言語の信頼性が高い

Pythonは機械学習開発分野だけでなく、Webアプリケーション開発の分野でも広く利用されています。

その言語としての信頼性の高さが、Pythonが多くの企業で採用される理由の1つです。


巨大IT企業であるAmazonのリコメンド機能はPythonで実装されており、またGoogleのアプリケーションでもPythonが利用されていることからも、信頼性が高いことが伺えます。



7.機械学習を学ぶ方法


機械学習を習得するとなれば、さまざまな学習方法があります。

短期間で集中したスキルを習得する方法もあれば、マイペースでじっくり学ぶ方法もあります。


ここでは、機械学習を学ぶ方法を3つ紹介していきますね。

①本で学ぶ

本で学ぶメリット、デメリットは何があるのでしょうか。


メリットは、情報の信頼性が高い・コストパフォーマンスが良い・体系的な知識を得られるといったことが挙げられます。


デメリットは、わからないことがあっても質問ができないので、他の方法と併用して理解していくことですが、マイペースで手軽に学びたい方にはおすすめの学習方法です。


ここで、おすすめの書籍を2冊紹介します。

Python機械学習プログラミング 達人データサイエンティストによる理論と実践

Python機械学習プログラミング 達人データサイエンティストによる理論と実践

深層学習・強化学習から分類・回帰問題まで機械学習のコンセプト全般をカバーしている書籍です。

理論的背景と実際のPythonコーディングを解説しており、scikit-learnやTesnorFlowなど新規のPython環境に対応しています。


著名陣の経験に基づく洞察と専門的な知識を学ぶことができる解説書です。

ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装

ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装

ディープラーニングの本格的な入門書です。ディープラーニングを理解するために必要な知識を、初歩的なことからひとつひとつ積み重ねながら説明しています。

ディープラーニングとは何なのか、どういう特徴があるのか、どういう原理で動作しているのか、といったことをやさしい言葉で説明しています。


フレームワークやライブラリを使用せずに、Pythonを使ってゼロからディープラーニングを作っていくので、ディープラーニングの基礎を正しく身につけたい方におすすめの一冊です。

②プログラミングスクールに通う

プログラミングスクールは、目的に合わせて効率よく学べる・講師に質問がしやすいため挫折しにくい、といったメリットがあります。

またスクールによっては就職支援サポートを受けることもできます。


ただし、受講費用が高額、かつ教室へ通学するので時間と移動費がかかるのがデメリットです。


独学より短期間で機械学習を学べますが、通学する必要があるので、ご自身の生活スタイルや学習期間を考慮してスクールを選びましょう。

③e-Learningを活用する

e-Learningは、パソコンやタブレットなどの電子デバイスとインターネットを活用した学習サービスです。

動画講義を視聴する形態なので、インターネット環境があればどこでも学習できます。

また何度でも繰り返し受講できるので理解度の定着が見込まれます。


e-Learningは時間や場所を選ばず自分のペースで学習できるので、忙しい社会人におすすめの学習方法です。



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