仮想オフィスを活用したITエンジニア研修とは?
- 1. IT人材とは
- 2. なぜIT人材育成が求められるのか
- 3. 政府の取り組み
- 4. 企業におけるIT人材育成の課題
- 5. IT人材育成の解決方法
- 6. IT人材育成に役立つ助成金
- 7. トレノケートのIT人材育成研修
- 8. IT人材育成の成功事例
- 9. まとめ
時代の変化とともにIT人材育成に力を入れる企業は増加しています。
しかし企業によっては「IT人材育成のために何をすればいいのかわからない」という悩みもあるでしょう。
当記事では、IT人材とは何か、定義や育成が求められる理由、政府の取り組み、課題、解決方法について詳しく解説します。
記事後半では助成金や成功事例についても紹介するので、ぜひご参考ください。
1. IT人材とは
IT人材とは、正式な定義としてはITを提供する側の人(IT企業や情報システム部門担当者)を指します。
近年技術進展が進むIT分野において、企業の状況や課題に合わせたIT人材の確保が求められています。
一方で、ITスキルを活用して製品・サービスの提供、事業創造、付加価値向上などを行う人、いわゆる「デジタル人材」をイメージする方も多いのではないでしょうか。
業務全体のデジタル化やDXに伴い、ITを使う側にもデジタルスキルや知識が重要になっているのです。
本記事では、その両方の範囲に触れていきます。
2. なぜIT人材育成が求められるのか
IT人材が求められる理由として、以下の2点が挙げられます。
1. 迫る2025年の崖
2. IT人材不足に起因する競争力の低下
それでは順番に解説します。
①迫る2025年の崖
経済産業省のDXレポートでは、2025年までにIT人材不足が約43万人まで拡大するというデータがあります。
人材が不足するうえに、過去の技術や仕組みで作られた「レガシーシステム」が技術的負債として重くのしかかったり、大手ベンダーのサポートの終了が重なったりすることで、企業経営を圧迫します。
経済産業省ではこれを「2025年の崖」と呼んでいます。これを乗り越えるためには、IT人材の確保、育成が急務です。
そのため2025年までに企業のDXを推進し、IT人材育成に力を入れる必要があるのです。
出典:DXレポート│経済産業省
②IT人材不足に起因する競争力の低下
経済産業省は「デジタル人材育成プラットフォームについて」という資料において、日本のデジタル競争力が低下しているというデータを引用しています。
国際経営開発研究所(IMD)が行ったこの調査によると日本のデジタル競争力は2018年に22位、2021年には28位と低迷。
その大きな要因には、人材やデジタル、技術スキルなどが深く関係しています。
実際に、日本の企業76%はDX人材不足を感じていますが、人材育成の見直しを実施しているのはわずか7.9%なのが現実です。
グローバルでの競争力を高めるためには、IT人材が不可欠なのです。
参考記事:経済産業省 デジタル人材育成プラットフォームについて
3. 政府の取り組み
政府は企業のIT人材育成のため、以下のような取り組みを行っています。
・ITスキルの標準化
・ITスキルの可視化
・デジタルスキル標準の策定と推進
上記取り組みを実施することで、国内のIT人材育成を強化しています。
それでは具体的な取り組みについて詳しく説明します。
①ITスキルの標準化(ITSS+、ITSS、UISS、ETSS)
政府は、IT関連サービスの提供に必要な実務スキルを明確化・体系化した指標を設けています。
平成14年12月に経済産業省が策定・公表し、ITサービス・プロフェッショナルの教育・訓練のために提供しています。
具体的には以下のようなものがあります。
・ITSS+:(セキュリティ領域、データサイエンス領域の専門分野や業務活動)、必要スキルを体系化した指標
・ITSS:IT人材に求められるスキルやキャリアを明確化・体系化した指標
・UISS:企業のITスキルを測定するための検定試験
・ETSS:組込みソフトウェアの開発スキルを測定する指標
②ITスキルの可視化(各種検定試験)
ITスキルの可視化するために、各種検定試験を実施しています。
IT人材育成のため国家試験としており、試験事務は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施しています。
主な検定試験の内容については下記のとおりです。
・情報処理技術者試験:情報処理技術者として知識・技能が一定以上の水準であることを認定している国家試験
・情報処理安全確保支援士試験:情報セキュリティに関する高度な知識・技能を認定する試験
・Di-Lite:ビジネスパーソン(ITを使う側)の基礎リテラシーを測るための学習範囲を定めたもの。現在は
「ITパスポート試験」「G検定」「データサイエンティスト検定」の3つが推奨資格試験となっている
③デジタルスキル標準の策定と推進
デジタルスキル標準は、経済産業省とIPA(独立行政法人情報処理推進機構)がとりまとめたスキル標準で、下記の2つで構成されています。
・DXリテラシー標準:すべてのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキル
・DX推進スキル標準:DX推進人材の役割や、習得すべきスキル
※DX推進スキル標準
DXリテラシー標準が経営層をふくむ、すべての従業員が対象であるのに対し、DX推進スキル標準はデータサイエンティストやビジネスアーキテクトなど、DXを推進する人材に特化したスキル標準になっているのが特徴です。
今後、民間企業との連携を進めながら普及に取り組みつつ、デジタルスキル標準の継続的な見直しを行うとしています。
出典:デジタルスキル標準│経済産業省
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/skill_standard/main.html
4. 企業におけるIT人材育成の課題
企業におけるIT人材育成の課題として、以下の5点が挙げられます。
1.DX戦略やIT化のゴールが決まっていない
2.自社に必要なスキルセットが定義できない
3.スキルセットを埋めるための研修メニューが用意できない
4.IT人材育成を行うリソースがない
5.OJT中心になってしまい育成が属人化する
それでは順番に解説します。
①DX戦略やIT化のゴールが決まっていない
自社のDX戦略やIT化のゴールが明確になっていないことから、IT人材育成ができないケースは少なくありません。
DXにしてもIT化にしても目的や目標が定まっていないと、そのためにどのようなスキルを持つ人材が必要かを定義できません。
人材の定義があいまいであるため、育成そのものに支障をきたします。
②自社に必要なスキルセットが定義できない
前述で説明した通り、DX戦略やIT化のゴールが明確になっていないことから、必要なITスキルを具体的に定義できません。
一言でITスキルといっても幅が広いため、自社にとって何が必要なのかを明確にすることが重要です。
③スキルセットを埋めるための研修メニューが用意できない
前述で説明したITスキルセットを定義できたとしても、足りないスキルセットを埋めるための研修メニューに落とし込めないという壁もあります。
理由としては、自社のリソース不足やノウハウ不足が挙げられます。
研修は体系的に行う必要があります。埋めるべきスキルセットを把握できたとしても、それを研修メニューとして資料に落とし込むには労力や工夫が必要です。
④IT人材育成を行うリソースがない
IT人材育成を行うリソースが足りていないことも大きな課題です。
自社にIT人材がいたとしても実務が多忙であれば、人材育成を行う時間を作ることが難しいでしょう。
また、たとえ優秀なエンジニアがいたとしても、講師として優秀かどうかはまた別問題です。
無理に工数を割いたとしても、十分な効果が得られないかもしれません。
⑤OJT中心になってしまい育成が属人化する
前述で説明したような課題からOJTが中心となり、育成が属人化するケースもあります。
OJTとは、職場で実践を通じながら業務知識を身につける育成手法のことです。
実際の業務に慣れることができるなどのメリットも多いですが、指導する人によって効果や効率が異なり、成長ペースが変動してしまいます。
また自社に必要なITスキルが身についているかを可視化しづらいため、育成状況や到達度を確認することが難しいです。
そのため1人ひとりのヒアリングを通じて、育成すべきスキル内容や優先順位を検討する必要が生じます。
5. IT人材育成の解決方法
IT人材育成の課題を解決するには、いくつかの方法が存在します。
こちらでは、企業がIT人材育成をするときの解決方法について詳しく解説します。
ぜひ自社に最適な方法を実施してください。
①自社のDX戦略やIT化のゴールを定める
IT人材育成をはじめるには、DX戦略を明確化して必要な人材要件を整理することが大切です。
経済産業省は、DXの推進に当たって以下のような対応が重要と記載しています。
・DX推進体制の整備(共通理解の形成、役割の明確化など)
・DX戦略の策定(環境変化を踏まえた業務プロセスをデジタル前提・顧客視点で見直し)
・DX推進状況の把握(戦略に基づいた推進状況の確認・修正など)
まずはIT人材育成をするためのDX戦略を明確化し、必要な人材要件をセットしていきましょう。
②スキル標準などを活用しスキルマップを作成する
次に策定した戦略やゴールに基づき、ITスキル標準やデジタルスキル標準を参考にしてスキルマップを作成しましょう。
スキルマップとは、従業員の業務内容ごとに必要なスキルレベルを図化したものです。
例えばITスキル標準では職種ごとに必要なスキルが「スキルディクショナリ」として定義されています。
そしてスキルマップへと落とし込み、IT人材育成へと役立てられます。
③人材育成ロードマップ(研修ロードマップ)を作成する
引用元:トレノケート
スキルマップで習得すべきスキルが可視化されたら、それを身につけるための計画となる人材育成ロードマップを作成します。
役職や期間を設定し、人材育成の流れを作成していきます。
上記の例からわかる通り、ロードマップを作成することで各役職によって流れを簡単に可視化することが可能です。
④OJTだけでなくOFF-JTも活用する
OJTを活用すると現場の実践的なスキルを学べるというメリットがあります。
しかし育成が属人化するため、人によって進度が異なってくる点が主なデメリットです。
OFF-JTを活用すれば必要な知識を体系的かつ一律に学べるので、この点を解決できます。
OFF-JTとは、職場や通常業務から離れて時間や場所を取って行う教育・学習のことです。
OJTだけでなくOFF-JTも両方併用することで、より効果的なIT人材育成を期待できます。
6. IT人材育成に役立つ助成金
IT人材育成には、予算の問題も発生します。そんなときに役立つものが助成金です。
こちらでは、IT人材育成に役立つ助成金を2つ紹介します。
それぞれ条件があるので、自社が満たしているのかをぜひチェックしてください。
①人材開発支援助成金
人材開発支援助成金とは、中小企業で約半額、大企業でも研修費用の3分の1程度が助成される制度です。
企業が従業員に対して職務と関連性のある専門的な知識・技能の習得をさせるための職業訓練等を計画に沿って実施したときの賃金の一部等を助成する制度です。
従業員が全員正社員である場合、10時間以上の外部研修受講時に受講費用の一部が助成されます。
また外部研修受講時間中の賃金の一部が助成される仕組みです。
新入社員研修で助成金を活用する場合、以下のような申請要件を満たすことが必要です。
【若年人材育成訓練】
・OFF-JT(外部研修)のみが対象
・新入社員がOFF-JT(外部研修)に8割以上出席し、不備なく書類申請を期限内に行う
【情報技術分野認定実習併用職業訓練 】
・OJTとOFF-JTのいずれも計画内容の8割以上を計画通りに行うことが必要
・OJT期間について、事前に1日単位の詳細なOJT計画が必要
・助成金対象となるOJTに関して「1日単位で事前の計画通りに進める」、「OJT担当者が必ず新入社員と
同じ場所にいること」などのこまかな制約があり計画変更時は1日単位の細かい変更申請が必要
2022年12月には人材開発支援助成金制度にあらたに「事業展開等リスキリング支援コース」が創設されました。
企業がDXを推進する際、関連業務に従事する従業員が専門知識・技能を習得するための研修を受講すると助成金を受給できます。
②DXリスキリング助成金
DXリスキリング助成金とは、都内中小企業等が従業員に対してDXに関する職業訓練に従業員を派遣、またはeラーニング等を利用した際にかかる経費を助成する制度です。
申請対象は中小企業もしくは個人事業主とし、以下の表に当てはまると対象となります。
業種分類 | 資本金の額または出資の額 | 常時使用する従業員数 |
小売業・飲食店 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
上記以外の産業 | 3億円以下 | 300人以下 |
助成額は助成対象経費の3分の2となっており、助成限度額は64万円までです。(申請は1事業者1回のみ)
DXリスキリング助成金の申請要件や助成対象となる訓練の要件は、以下の項目を参考にご覧ください。
【申請要件】
・都内に本社又は事業所(支店・営業所等)の登記がある
・訓練に要する経費を従業員に負担させていない
・助成を受けようとする訓練について国又は地方公共団体から助成を受けていない
【助成対象となる訓練の要件】
・民間の教育機関が提供するDXに関する訓練に従業員を派遣又はeラーニング等により実施するもの
・DXに関する専門的な知識・技能の習得と向上を目的とした訓練であること
・教育機関等の受講案内と受講に係る経費(受講料等)が、ホームページやパンフレット等で一般に公開されて
おり、1講座及び受講者1人あたりの講座期間(時間)、受講料があらかじめ定められていること
・助成対象事業者が受講者の受講履歴等を確認できる訓練であること
・助成対象期間の初日以降に開始し、助成対象期間内に終了した訓練であること
7. トレノケートのIT人材育成研修
トレノケートでは、IT人材育成をサポートするサービスを提供しています。
27年以上の歴史を持ち、人材育成の専門企業として1,200社以上の企業様と取引させていただいております。
また強みとして、以下の3点があります。
- 「ビジネス×IT×グローバル」によって人材育成をリード(新入社員から経営層までの全階層をカバー、豊富なトレーニングラインアップ、最先端のメソッドやテクノロジーに対応)
- 専門企業としてのノウハウ(人材育成の全体設計をご支援、実務に活かせるトレーニング内容、プロフェッショナルな講師陣)
- 世界に広がるネットワーク(世界15の国と地域、26拠点、グループ企業の世界的なネットワーク、グローバル人材の育成実績)
1,500以上の提供コースを展開しており、企業の研修目的・目標に合わせた設計、提供が可能です。
各企業専任の新入社員研修プロジェクトマネージャーがいるため、ご要望を徹底的にヒアリングしたうえで研修運営に反映させられます。
またオフラインだけでなくオンラインの学習方法を選択できるので、学習効果を向上できます。
デジタル時代に向けてIT人材育成にお悩みなら、ぜひお問い合わせをお待ちしております。
8. IT人材育成の成功事例
トレノケートのIT人材育成の事例をご紹介します。
約250名の新入社員に対して、約60日間にわたり以下の表の研修を実施しました。
段階 | 研修期間 | 研修目的・概要 | 実施方法 |
基礎編 | インフラ 20日間 | ネットワークやデータベースの仕組みを理解し、 各種OSの構成や運用管理ができるようになる。 | オンライン/集合 (並行実施) |
開発 25日間 | アルゴリズムを学んだ後、Javaを使って Webアプリケーション開発ができるようになる。 | オンライン/集合 (並行実施) | |
応用編 | 総合演習 7日間 | 演習環境に必要なインフラを新入社員が自ら構築し、 Webアプリケーションをチームで開発しデプロイする。その成果や学びを発表する。 | オンライン/集合 (並行実施) |
実務編 | 配属先別 5日間 | 総合演習までに学習したことに加え、 現場業務に必要なスキルを学ぶ。 | オンライン/集合 (並行実施) |
引用:研修サービス事例:SCSK株式会社
https://www.trainocate.co.jp/gkservices/cases/case202011.html
9. まとめ
今回は、IT人材の詳細から育成が求められる理由、政府の取り組み、課題、解決方法について詳しく解説しました。
現在国内ではIT人材不足が進んでおり、経営面や技術面においても大きな経済損失になる恐れがあります。
そのため政府はIT人材育成に力を入れており、多くの企業を支援しています。
IT人材育成にお困りの際は、人材育成の専門家であるトレノケートが支援させていただきます。
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