Gradleとは何者?インストール方法〜使い方までわかりやすく解説
1.Javaの開発環境は何が必要?
Javaの勉強・開発を始める時に準備するものとして、まずPCとインターネットがありますが、それだけでは足りません。Javaプログラムの開発を行うには、「JDK」と呼ばれるJavaの開発環境をPCにダウンロードする必要があります。
JDKとは、「Java SE Development Kit」の略で、Javaでプログラムを開発する・動かす時に必要なライブラリをパッケージ化したものです。JDKにはいくつか種類がありますが、Oracle社のOracle JDKが有名で、公式ページでダウンロードできます。
JDKの中には「Java実行環境(JRE)」と言われる、Javaプログラムを動かすためのパッケージやプログラムを、コンピューターが理解できる形式に変換するコンパイラ、開発を効率化するクラスライブラリなど様々なものが入っています。
JDKをPCにインストールすることでJavaプログラムの開発は行えますが、多くのエンジニアは「IDE」を利用してコーディングを行っているのです。
2. IDEとは?
それでは、IDEとはどんなものか見ていきましょう。IDEは「Integrated Development Environment」の略で、日本語では「統合開発環境」と呼ばれています。
Javaで開発をする際、テキストエディタでソースコードを書き、コマンドライン上でコンパイルコマンドを叩くこともできます。
しかし、それぞれ別のツールを開いてバラバラに作業するよりも、コーディング・コンパイル・テスト・デバッグなど、プログラミングの開発で行われる一連のプロセスをひとつのツールで行えるようにと作られたのがIDEです。
実際の画面は下の画像のようなものです。eclipseでは左にソースツリー、右上にソースコードの編集スペース、右下にはコンソールやコマンドラインなどが配置されています。
Javaでの開発に限らず、様々なプログラミング言語やITシステムの開発にIDEは利用されており、プログラミングを行う際には使えるようにしたいツールのひとつです。
3.IDEで開発するメリット
前章ではIDEがどのようなものかについて紹介しました。ここからは、IDEを使うことでいかに開発が効率的になるかを詳しく見ていきたいと思います。
3-1. 開発環境の構築が簡単にできる
まずIDEのメリットとして挙げられるのは、「統合開発環境」という名の通りコーディングを行うために必要な最低限のツール群を、ひとつのツールをインストールするだけで揃えられるという点です。
ソースコードの編集にテキストエディタ、コマンドラインの操作やデバッグにそれぞれ別のツールをインストールし、アップデートにも対応していくことは管理が面倒です。この手軽さだけでも、IDEを導入する価値があると言えるでしょう。
3-2. 作業効率が上がる
作業効率が上がるという点も、IDEを導入するメリットです。IDEの多くに搭載されている機能に「入力補完」というものがあります。
これは、途中まで入力すればソースコードの補完候補を提示してくれる機能です。携帯で文字入力した際の予測変換と同じような機能ととらえるとわかりやすいでしょう。
コーディングは、常に新しい処理やロジックを考えながら書くわけではありません。既存の処理やロジックを用いて、プログラムを完成させる作業的な場面も多くあります。入力補完をうまく利用すれば、早く正確にコーディングができるため作業効率も上がるでしょう。
3-3. チーム開発ができるようになる
IDEはチームでの開発をスムーズにする機能もあります。
チームでコードを書く際のルールであるコーディング規約の設定を共有したり、gitなどのバージョン管理ツールと連携することでリポジトリの状態などを把握できたりと、チーム開発に役立つでしょう。
また、複数のチームで開発を行う際の情報共有ツールとしても使用できるので、チームで同じIDEを導入し設定を共通化するなど、共同開発の場面でも利用されています。
3-4. 効率的なプログラミングが可能になる
IDEは文法などにミスがある場合には注意や警告を表示してくれます。
ファイルを編集している最中に表示してくれるので、些細な構文ミスでのエラーを回避することができるのです。これにより、コンパイル時になってエラーが判明し、エラー文を読んで該当する箇所を探して修正する…といった時間が節約されます。
大量のソースコードを書いていれば、誰でもイージーミスは起こしてしまうもの。自動で構文解析をし視覚的にエラー箇所の色を変えたり強調したりしてくれるIDEを使用することは、効率的なプログラミングに繋がります。
4.IDEの便利な機能
この章では、IDEの持つ代表的な機能についてもう少し詳しく見ていきましょう。
4-1.デバッグ
デバッグ機能とは、システム開発の際にソースコードの欠陥を調査し修正する「デバッグ作業」のための機能やツールで、「デバッガー」とも呼ばれます。
プログラム実行時に変数に格納されている値を教えてくれるトレースや、プログラムを途中で止めてその時点の状態を確認できるブレークポイントなど行えるので、エラーの原因調査に非常に役立ちます。
4-2.コンパイル
コンパイル機能とはJavaなどのプログラミング言語を、コンピュータ上で実行可能な形式に変換する機能のことです。コンパイルとは、ソースコードを人間が読んで分かりやすい「プログラミング言語」から機械が解読できる「機械語」に翻訳することを指します。
eclipseなどのIDEでは、コンパイルされたプログラムをひとつにまとめて実際に実行する「ビルド機能」も使用できます。
4-3.エディタ
エディタ機能とはプログラム開発の際にソースコードの記述や編集を行うための機能で、IDEでは実際に文字を入力してソースコードを作成していくノートのような部分に当たります。
IDEはただのメモ帳ツールなどとは異なり、様々なプラグインを使用することで自分好みのツールにカスタマイズできるのが魅力です。
近年ではさらに機能が強化されており、編集機能に特化したテキストエディタと比べても速度は劣りません。IDEを使用すれば、わざわざコード記載用のツールを別に開く必要はないでしょう。
4-4.リファクタリング
IDEに搭載されているリファクタリングという機能は、コード修正の簡便化を自動で行ってくれる機能です。
例えば、プロジェクトの開発が進みソースコードの量が増えてきてから、変数名を変更することになったとします。その場合、手動で変数をひとつずつ確認しながら変更する、もしくは検索や置換機能を使って作業することになります。
リファクタリング機能なら、変更が必要な変数を1箇所で修正すれば自動でプログラム中のすべてのコードに反映し、コードを綺麗にしてくれるのです。このような作業をIDEが自動で行ってくれるため、他の作業に集中することができるでしょう。
4-5.シンタックスハイライト
IDEに搭載されているシンタックスハイライト機能は、記述したコードの文字色をプログラム上の役割により区別して表示する機能です。
例えばプログラムの中でテキスト文字として記述されている部分を赤字、クラス名は青字、コメント部分は灰色文字で表示するなど、色分けによりプログラムコードの構成が直感的に分かるようになります。
4-6.コード補完
コード補完とは、プログラムを書いているときに、書いているコードに応じたクラスやメソッド、フィールドなどをIDEが解析し次に入力すべき候補が表示される機能です。
この機能を効率的に利用すればタイピング量が減るので、手間も省け入力ミスも防げます。HTMLを扱う場合など、毎回開始タグから終了タグまで一つひとつ打つのは非常に面倒です。
IDEにはコード補完が搭載されているものが多く、ある程度コードを入力すると自動で補完してくれるため、非常に快適に開発が進められるでしょう。
5.Java開発でおすすめなIDE5選
これまでIDEのメリットや機能について紹介してきましたが、実際のIDEには種類があります。ここからはJavaを開発する際に候補に上がる代表的なIDEを見ていきましょう。
5-1.Eclipse
JavaのIDEというと真っ先に上がるEclipseは、元々はIBMが開発し現在はEclipse財団が管理するオープンソースで無償の統合開発環境です。Javaで開発されていることもあり、Java開発に向いています。
Javaの開発に必要な機能が標準装備されているので、インストールすればそのままJava開発に利用できます。またカスタマイズのためのプラグインが豊富なのも、人気の理由のひとつ。多くのJavaエンジニアが利用しているため、参考文献なども見つけやすいでしょう。
5-2.NetBeans
NetBeansは、Javaの開発元であるサンマイクロシステムズ社が開発したオープンソースのIDEです。Eclipse同様にJavaによる開発を目的としたIDEではありますが、C言語やPHPなどにも対応しています。
最初から日本語化できたり、コード補完などがEclipseに近い仕様だったりと、IDEとしての機能は備えていますが、近年ではあまり名前を聞かなくなりチュートリアルなどでしか見かけなくなりました。Javaをこれから学ぼうという方は、Eclipseを選ぶ方が無難です。
5-3.IntelliJ IDEA
様々なIDEを提供しているチェコのJetBrainsが開発しているJavaベースのIDEです。コード補完・リファクタリング機能などコーディングサポート機能が豊富に揃っていて、Eclipseと人気を二分するIDEです。
一定の条件で無償となるケースもありますが、Eclipseとは異なり基本的には有償のツールになります。それでも多くのユーザーが購入しているという事実が、IDEとしての使いやすさ、コストパフォーマンスの良さを示していると言えるでしょう。
5-4.Xcode
Xcodeはアップル社が開発したIDEで、iOSアプリ開発環境として代表的なものです。Apple公式のIDEであり、AppleStoreからダウンロードできます。
モバイルアプリ開発のIDEによくある特徴で、ボタンやラベルなどのパーツをドラッグ&ドロップするだけで配置され、必要なコードを補填してくれます。
開発環境としてのコード補完や検索機能なども備えているため、コーディング作業もできますが、コードを書かなくても開発ができるというのが特徴です。
5-5.Visual Studio Code
VS Code(Visual Studio Code)は、Microsoft社が開発したエディタです。シンプルで動作が軽く、重いコードであっても動作が安定します。
また、拡張機能が豊富で自分の好みでカスタマイズがしやすい、デバッグが標準されているといった点も魅力です。Javaに限らずPythonやRubyなど、様々なプログラミング言語開発者に使用されています。
基本的にはテキストエディタとして使用して、それ以降の開発作業をIDEで回していく、というやり方をするエンジニアもいますが、IDEとも呼べるようなJava開発周りの機能をプラグインで揃えることもできます。