トレノキャンプ

2023.09.15

【完全ガイド】DevOpsとは？導入から未来の展望までを徹底解説

2023.11.18

1．DevOpsとは
2．DevOpsの重要性
3．DevOpsとアジャイルの関連性と違い
4．DevOpsの導入に向けて
5．DevOpsとCI/CD
6．DevOpsの具体的なツールとプラクティス
7．DevOpsの未来と展望

開発から運用までの全体の流れを効率化し、素早く安全に製品をユーザーに提供するための方法論、それがDevOpsです。この記事では、DevOpsの基本概念から重要性、具体的なツールと実現方法、未来の展望までをわかりやすく解説します。開発プロセスの効率化に興味がある方、プログラミング初心者から中級者の方々まで、DevOpsの世界を一緒に見ていきましょう。

1．DevOpsとは

DevOpsは何なのか、行う目的は何なのかを深掘りします。

① DevOpsの定義とその目的

DevOpsは、「開発」を意味する”Development”と「運用」を意味する”Operations”を組み合わせた言葉で、ソフトウェアの開発から運用までのライフサイクル全体で、さまざまな役割を持つ人々が協力して作業を進めることを指します。

DevOpsの主な目的は、開発と運用のプロセスをより効率的かつスムーズに進行させることです。これにより、製品のリリースサイクルが短縮され、ユーザーにスピーディーに価値を提供できます。

また、問題が発生した場合でも、チーム全体で一緒に問題解決を行うことで、製品の品質向上が期待できます。

② DevOpsの歴史とその進化

DevOpsの概念は、2008年頃からソフトウェア開発の世界で見られ始めました。開発者と運用者が別々に作業を進める従来のアプローチでは、新しい機能のリリースやバグ等の解決に時間がかかるという問題がありました。この課題を解決するために生まれたのがDevOpsです。

当初は、一部の企業やプロジェクトでしか取り入れられていませんでしたが、その効果が広く認識されるようになるにつれて多くの企業がDevOpsの手法を導入するようになりました。現在では、DevOpsはソフトウェア開発のスタンダードなアプローチとなり、新しいツールや方法論が次々と生まれ、その範囲も広がり続けています。

2．DevOpsの重要性

開発から運用までの連携が重要な理由を見ていきましょう。

① 高速なリリースとフィードバックループ

DevOpsは、製品や機能のリリースをより高速に行うことを可能にします。これは、開発者と運用者が連携して作業を進めることで、製品のリリースに至るまでのプロセスがスムーズになるためです。

そして、この高速なリリースは、ユーザーからのフィードバックを迅速に得ることを可能にします。新しい機能をリリースすればするほど、それに対するユーザーの反応を得る機会が増えます。これは、製品の品質を向上させるための貴重な情報源となります。

また、このフィードバックは製品の改善だけでなく、チームが製品に対する理解を深め、次のリリースに向けたアイデアを得るのにも役立ちます。このような高速なフィードバックループが、DevOpsの大きな魅力の一つとなっています。

② クロスファンクショナルチームと文化の変化

DevOpsは、技術やツールの適用だけでなく、組織の文化やプロセスに大きな変化をもたらします。開発者と運用者が一緒に働くことで、互いの視点を理解し、それぞれの課題やニーズに対する共感が深まります。

このようなクロスファンクショナルチーム（CFT）は、それぞれの専門知識を持ち寄って問題解決を行い、その結果、より効率的な解決策を生み出すことが可能となります。さらに、互いに連携することで生じる新たな視点やアイデアは、製品の革新を推進します。

また、DevOpsの導入により、組織の風土そのものが変わることもあります。失敗を恐れずに新しい試みを行う、フィードバックを積極的に求める、共同で問題解決を行うなど、共同と学習を重視する文化が育つことが期待されます。

3．DevOpsとアジャイルの関連性と違い

DevOpsとアジャイルの関連性と、両者がどのように関わってくるかについて解説します。

① アジャイルとは

アジャイルは、ソフトウェア開発の手法の一つで、開発のプロセスを短く反復的に行うことを重視します。この手法の主な目的は、開発プロセスを柔軟にし、変更に対応しやすくすることです。したがって、開発段階で仕様変更や設計変更に柔軟に対応できることが特徴です。

アジャイル開発とは？メリットやウォーターフォールとの違いをわかりやすく解説

② アジャイルとDevOpsの違い

一見、アジャイルとDevOpsは似ているように見えますが、それぞれが重視するポイントは異なります。アジャイルはソフトウェアの開発プロセスに重きを置きます。これに対して、DevOpsは開発から運用までの全体のプロセスを見ます。つまり、アジャイルが製品の開発に重きを置くのに対して、DevOpsはそれを一歩進め、製品のリリースとその後の運用までを視野に入れます。このように、DevOpsはアジャイルを超えた範囲までカバーする考え方です。

③ アジャイルとDevOpsの相互補完

アジャイルとDevOpsは、製品開発の異なるステージを補完しあう関係にあります。その共通点は、迅速なフィードバックと反復的な改善を重視することです。

そのため、多くの組織では、アジャイルの方法論を用いてソフトウェアを開発し、その後DevOpsの手法を用いてそのソフトウェアを効率的にリリースし、運用します。このように、アジャイルとDevOpsは一緒に使用されることで、製品開発から運用までの一連のプロセスをスムーズにつなげることが可能となります。

4．DevOpsの導入に向けて

DevOpsを導入するための基本的なステップと注意点を見ていきましょう。

① DevOps導入の基本ステップ

DevOpsを導入する際の基本的なステップには、組織文化の理解と変革、適切なツールの選択と導入含まれます。ただし、DevOpsはすべての組織に対して一律に適用できるものではなく、各組織の特性とニーズに合わせてカスタマイズする必要があります。

以下に導入のための基本的なステップを示します。

組織文化の理解と変革
DevOpsを成功させるためには、まず組織文化の理解と変革が不可欠です。開発者と運用者が協力し、共通の目標に向かって努力する環境を作り出す必要があります。それには、コミュニケーション、協働、共有の重要性を理解し、それを組織全体に広めることが必要です。
適切なツールの選択と導入
次に、DevOpsを実現するためのツールを選択し、導入します。これには、コード管理ツール、ビルドツール、テストツール、デプロイメントツール、監視ツールなどが含まれます。ツールはDevOpsの実践をサポートし、効率化を図ります。
CI/CDパイプラインの構築
継続的インテグレーション（CI）と継続的デリバリー（CD）のパイプラインを構築します。これにより、コードの変更が効率的に本番環境にデプロイされる流れを作ります。これにより、フィードバックを速やかに得て、問題を早期に発見・修正できる環境が整います。CI/CDについてはこのあと詳しく解説します。
自動化の導入
テスト、デプロイメント、サーバーの設定など、可能な限り多くのプロセスを自動化します。これにより、エラーを減らし、作業の速度を上げることが可能です。
モニタリングとフィードバックループの確立
最後に、システムのモニタリングを設定し、フィードバックループを確立します。これにより、システムのパフォーマンスを常に監視し、問題が発生した際には即座に対応できます。また、フィードバックループを通じて、改善のための情報を継続的に取得し、学習と成長を促進します。

② DevOps導入にあたっての注意点

DevOps導入は単にツールを導入するだけでなく、組織全体の文化の変革を伴います。全メンバーがDevOpsの思想と手法を理解し、受け入れることが求められます。特に重要なのは以下の点です。

・組織全体の取り組み: 開発者だけでなく、ビジネスチームや運用チームも含めた組織全体での取り組みが必要です。

・組織文化の変革: 失敗から学び、継続的な改善を追求する文化を育てる必要があります。

・継続的な学習と改善: DevOpsの導入は一時的なプロジェクトではなく、継続的なプロセスです。

・リーダーの役割: リーダーはDevOpsの原則を理解し、推進し、共同作業を奨励する文化を醸成する役割があります。

以上の点を考慮し、DevOps導入を段階的に進め、反復的に改善していくことが大切です。

5．DevOpsとCI/CD

DevOpsの一部であるCI/CDの役割について理解しましょう。

① CI/CDとは

CI/CDとは、Continuous Integration（継続的インテグレーション）とContinuous Delivery/Deployment（継続的デリバリー/デプロイメント）を指す用語です。これらはソフトウェア開発の優れた手法で、コードの統合とリリースを頻繁かつ効率的に行うことを目指しています。

CIは新しいコードを既存のコードベースに統合する過程を自動化します。これにより、問題が早期に検出され、解決が容易になります。CDは、統合されたコードの変更を自動的に本番環境にデプロイ（配布）するプロセスを指します。

② CI/CDとDevOpsの関連性

CI/CDはDevOpsの哲学である高速で効率的なソフトウェア開発を具現化する重要な要素となっています。特に、開発から運用までの流れを速め、問題の発見と修正を素早く行えるようにするためです。これにより、開発チームはより頻繁に、かつ安全に新しい機能や修正を本番環境に反映できます。

③ DevOps文化におけるCI/CDの役割

CI/CDはDevOps文化の中心的な要素であり、プロセスの自動化を通じてフィードバックループを短縮し、開発から運用までのサイクルを速く回すのに役立ちます。この結果、迅速なフィードバックと継続的な改善が可能になり、組織全体の生産性の向上とソフトウェアの品質の向上が期待できます。

6．DevOpsの具体的なツールとプラクティス

DevOpsを実装し最大限の効果を発揮するためには、適切なツールと最良のプラクティスを理解し活用することが重要です。

① ツールの選択とその役割

DevOpsの実装を支える多種多様なツールが存在します。それぞれのツールは、特定の課題を解決することを目的としています。以下にいくつかの主要なツールとその機能を示します。

・Jenkins, Travis CI：これらのツールはCI/CDを具体化するために使用されます。開発者が新たにコードをバージョン管理ツールにコミットすると、自動的にビルドとテストが行われ、問題が早期に発見できます。

・Docker, Kubernetes：コンテナ化と複数アプリ間のオーケストレーションを提供します。これにより、環境の構築と管理が容易になり、アプリケーションの規模調整や配布も効率的に行えます。

・Git：バージョン管理を行います。開発者間でコードの変更を効率的に共有・統合し、必要に応じて過去のバージョンへの復元も可能です。

・Jira：タスク管理を提供します。チーム内での作業の進捗や優先順位の把握を助け、共同作業の効率化を促進します。

・Sentry：エラー追跡を行い、問題の特定と修正を迅速に行うために役立ちます。

② DevOpsの活用方法と事例

DevOpsを最大限に活用するための方法には、以下のようなものがあります。

・継続的インテグレーション：新たに書かれたコードを頻繁にメインコードベースと統合し、問題を早期に発見・修正します。

・自動化テスト：コードの品質を保つため、各統合の後に自動化したテストを実行します。

・インフラのコード化：サーバーやネットワークの設定をコードで管理し、環境の再現性と一貫性を保ちます。

・モニタリングとロギング：システムのパフォーマンスを監視し、問題を早期に発見できるようにします。

これらの活用方法は、多くの組織で成功を収めています。特に、NetflixやAmazonはDevOpsのこれらを導入し、リリース速度の大幅な向上やダウンタイムの減少などの効果を実現しています。

7．DevOpsの未来と展望

DevOpsの理念と手法は常に進化し続けています。その未来の展望について考える際には、現在のトレンドと課題、そして新たな進化の形を理解することが重要です。

①DevOpsのトレンドと課題

DevOpsは現在、多くの企業で導入が進んでいます。しかしその一方で、DevOpsの導入と実践にはいくつかの課題が伴います。主な課題には以下のようなものがあります。

・セキュリティの統合：DevOpsのスピードと効率性は多大なメリットをもたらしますが、それに伴いセキュリティの問題も重要性を増しています。DevOpsにはセキュリティの概念が含まれていないため、リリース直前にセキュリティに関する問題が発生した場合、修正に手間がかかり、継続的なリリースが妨げられます。開発プロセス全体にわたってセキュリティを考慮することが求められるでしょう。

・クラウドの適用：多くの組織がクラウドへの移行を進めていますが、それには新たなスキルや理解が欠かせません。また、クラウド上でのDevOpsの適用も特別な課題を伴います。

・スキルギャップの解消：DevOpsを導入するには、新しいスキルや考え方が必要です。組織内でこれらのスキルを育成し、理解を深めることは大きな課題となっています。

② DevOpsの未来：DevSecOpsとその他の進化

DevOpsの未来は、その理念と手法の進化によって今も形作られています。その一例として「DevSecOps」があります。これはDevOpsに”Security”が加わった考え方で、開発プロセス全体にわたってセキュリティを組み込むアプローチを表しています。これにより、製品のセキュリティが高まり、セキュリティ問題の早期発見と対応が可能となります。

また、AI（人工知能）や機械学習の活用は、DevOpsの自動化と効率化をさらに推進する可能性を秘めています。これらの技術を利用して、より複雑な作業を自動化したり、より賢い意思決定を行ったりすることが期待されています。

DevOpsの進化は終わりません。これらの動向を注意深く見守り、どのように自身の組織に取り入れるか考えることが重要です。